PAS(高圧気中開閉器)とは?役割と交換時期をわかりやすく解説
高圧受電設備の中で、電柱と敷地の境界に最も近い場所に設置されているのがPASです。地味な存在に見えますが、構内の事故を近隣に広げないための最初の砦という重要な役割を担っています。
PASとは何か、どこに設置されているか
PASの役割(区分開閉と事故時の遮断)
PASの交換時期の目安
劣化・故障のサイン
PASとは?
PAS(Pole Air Switch/高圧気中開閉器)とは、電力会社の配電線と需要家の構内設備との責任分界点付近に設置される開閉器です。多くの場合、引込柱の高い位置に取り付けられ、外から見える形で設置されています。
「気中」とは、絶縁・消弧の媒体として空気を使う方式であることを意味します。負荷電流の開閉を主目的とした機器で、大きな事故電流を単独で遮断する能力は基本的に持ちません。
PASの役割は?
PASには大きく2つの役割があります。
役割1:区分開閉器としての役割
電力会社が配電線の点検や事故対応を行う際、PASを開放することで需要家設備を電力系統から切り離せます。逆に需要家側で年次点検を行う際も、このPASを開放して構内を無電圧にします。
役割2:地絡事故を検出し自動的に切り離す役割
構内で地絡事故(漏電)が起きた場合、地絡方向継電器(DGR)などが異常を検知し、PASを自動的に開放します。これにより、構内の事故が電力会社の配電線側、つまり近隣の需要家にまで広がる「波及事故」を防ぎます。この自動遮断機能を持つPASは「GR付きPAS」と呼ばれ、GR付きPASとは?波及事故を防ぐ仕組みで詳しく解説しています。
PASの交換時期の目安は?
PAS本体は開閉器としての機械的な寿命がある一方、地絡を検出する制御装置(SOG制御装置)は電子部品を含むため、より短い周期での更新が推奨されています。
部位 | 更新推奨時期の目安 |
|---|---|
PAS本体(開閉部) | 屋外設置:10年前後(規定開閉回数を含む) |
GR付開閉器の制御装置(SOG制御装置) | 10年 |
出典:一般社団法人日本電機工業会「汎用高圧機器の更新推奨時期に関する調査」報告書(改訂版・2023年3月)
https://www.jema-net.or.jp/randb-archives/DS9201_202303.pdf
PASは屋外・屋上に露出設置されることがほとんどのため、キュービクル内部の機器よりも風雨や紫外線の影響を受けやすく、劣化が早く進む傾向があります。制御装置に使われるバッテリーやコンデンサも経年劣化するため、本体が正常に見えても制御部の更新が必要になる場合があります。
PASの劣化・故障のサインは?
本体外観の変色、がいし部分の汚損やひび割れ
動作表示灯の点灯異常、制御装置の表示部の不具合
年次点検の動作試験で応答が遅い、または不動作
過去に落雷や瞬時停電が多発した履歴がある
PASは責任分界点の機器のため、電力会社の設備との境界があいまいになりがちです。一般的には、PASの本体・制御装置とも需要家側の所有物であり、保守・更新の責任は需要家にあります。所有区分に不明点がある場合は、電力会社または保安管理事業者に確認することをおすすめします。
よくある質問(FAQ)
Q. PASは電力会社の設備ではないのですか?
A. 多くの場合、PASは需要家(設置者)の所有設備です。電力会社の配電設備との責任分界点に設置されているため誤解されやすいですが、保守・更新は需要家の責任範囲になります。所有区分は契約や地域によって異なる場合があるため、不明な場合は電力会社にご確認ください。
Q. PASだけを交換することはできますか?
A. 可能です。キュービクル内部の機器とは別に、PAS単体の交換工事として発注できます。ただし工事には短時間の停電を伴います。
Q. SOG制御装置とは何ですか?
A. PASに組み込まれる地絡検出・自動開放のための制御装置です。地絡電流と方向を検知し、一定の条件を満たすとPASに開放指令を送ります。電子部品を含むため、開閉器本体より短い周期での更新が推奨されています。
まとめ
PASは、構内の事故を近隣に広げないための最初の防波堤です。屋外設置ゆえに劣化が進みやすく、制御装置は本体より短い周期での更新が推奨されています。年次点検の動作試験結果と設置からの年数を、あわせて確認することが重要です。
さつき電気商会では、PAS単体の交換から、キュービクル全体の更新まで、名古屋市港区を拠点に自社施工で対応しています。動作に不安がある場合は、お気軽にご相談ください。
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監修:株式会社さつき電気商会 技術部
名古屋市港区を拠点に、工場・倉庫の高圧受変電設備の設計・施工・更新を自社施工で手がけています。