波及事故を防ぐには?日常点検と設備更新のポイント
波及事故は、日頃の点検と計画的な設備更新によって未然に防げる可能性が高い事故です。この記事では、日常的にできる確認項目と、設備更新の面から見たポイントを整理します。
日常点検でできる波及事故対策
GR付きPASの動作試験の重要性
設備更新の面から見たポイント
点検で異常が見つかった場合の対応
日常点検でできる波及事故対策
波及事故の多くは、設備の絶縁劣化や保護機能の不具合が根本原因です。日常の巡視・点検で次の点を確認することが、早期発見につながります。
PAS・キュービクルの外観:変色、腐食、がいしの汚損やひび割れ
周囲環境:樹木の接触、小動物の侵入経路、資材の積み上げ
ケーブル引込口:雨水の浸入跡、シールの劣化
異音・異臭:変圧器のうなり音の変化、焦げたような臭い
これらは電気の専門知識がなくても、日々の巡視の中で気づける項目です。異常に気づいた際は、速やかに電気主任技術者や保安管理事業者に連絡してください。
GR付きPASの動作試験の重要性
波及事故を防ぐ仕組みの中核は、GR付きPASが正しく地絡事故を検知し、自動的に開放することです。この機能は年次点検での動作試験でしか健全性を確認できません。
制御装置には電子部品やバッテリーが使われており、経年劣化によって「事故が起きても正しく動作しない」状態に陥ることがあります。これは外観からはまったくわからないため、動作試験を確実に実施することが波及事故対策の要になります。仕組みの詳細はGR付きPASとは?波及事故を防ぐ仕組みをご覧ください。
設備更新の面から見たポイント
波及事故の原因データでは、自然劣化による事故の平均経過年数が13.3年という調査結果が示されています(一般社団法人日本電機工業会「汎用高圧機器の更新推奨時期に関する調査」報告書・改訂版2023年3月)。これは、機器ごとの更新推奨時期(多くが15年〜20年)よりも早い段階で事故が起こり得ることを示しています。
特に優先的に確認すべきは次の機器です。
PAS・SOG制御装置:波及事故を直接防ぐ機能を持つため最優先
高圧ケーブル:絶縁劣化(水トリー現象)が地絡事故の原因になりやすい
キュービクル内の主要機器:変圧器、コンデンサなど、絶縁破壊のリスクがある機器
点検で異常が見つかった場合の対応
点検で動作試験の不良や絶縁抵抗の低下が確認された場合、放置せずに早急な対応が必要です。対応の進め方は点検で指摘を受けたら?高圧設備の改修の進め方で解説しています。
よくある質問(FAQ)
Q. 日常点検は誰が行うべきですか?
A. 専門的な測定を伴う点検は電気主任技術者や保安管理事業者が行いますが、日々の外観確認は設備管理担当の方でも可能です。異常に気づいた場合は速やかに専門家へ連絡することが重要です。
Q. GR付きPASがあれば動作試験は不要ですか?
A. GR付きPASは設置しているだけでは効果が確認できません。制御装置は経年劣化するため、定期的な動作試験でその都度、正常に機能するかを確認する必要があります。
Q. 波及事故対策として、まず何から始めればよいですか?
A. 設置からの経過年数の確認と、直近の点検記録(特にPAS・SOGの動作試験結果)の見直しから始めることをおすすめします。不明な点は保安管理事業者や工事業者にご相談ください。
まとめ
波及事故対策の基本は、日常の巡視による異常の早期発見と、GR付きPASの動作試験の確実な実施です。加えて、機器の更新推奨時期を踏まえた計画的な更新が、根本的なリスク低減につながります。
さつき電気商会では、波及事故対策の観点からの設備診断、PASの動作試験、老朽化機器の更新まで、名古屋市港区を拠点に対応しています。日頃の点検内容についてのご相談もお気軽にどうぞ。
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監修:株式会社さつき電気商会 技術部
名古屋市港区を拠点に、工場・倉庫の高圧受変電設備の設計・施工・更新を自社施工で手がけています。